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ビッグバン宇宙論は膨張宇宙と現在の宇宙に残されている絶対3度の背景放射を説明できる理論です。そしてもう1つの重要な成功は宇宙の軽元素(水素、ヘリウム、リチウムなど)の存在比を予言できることです。 温度が冷えてくると陽子より少しだけ重い中性子は陽子に壊れますが、壊れる前に他の核子に捉えられればそのまま中性子でいられます。そして重水素やヘリウムの原子核を作ります。ところが、まわりの元気な光子が多いと中性子が捕まるのを邪魔するので、ヘリウムの出来る割合が減ります。 元素合成の時期までに温度が下がると、核子とその反粒子を対生成するほどの元気のいい光子はいなくて核子と反核子の対消滅も終わっていますので、ここで問題となるのは、核子と反核子の数の差と光子の数の比です。核子はクォーク3個からできていましたから、前者はクォークと反クォークの数の差と言っても構いません。慣例として、クォークがバリオン数
1/3を持つと数えます。つまり、 ということです。 光子が多いと(グラフの左側)、ヘリウム4に捉えられる中性子の数が減りますのでヘリウム4も減ります。この状況を詳しく計算するとこのグラフの右肩上がりの曲線になるのです。
「ビッグパン」というと火の玉から始まった膨張宇宙ということだけが注目されがちですが、実はこの軽元素の比を説明できることも大きな成功のうちの1つなのです。 |
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こうしてビッグバン宇宙論で現在の宇宙が出来るためには、元素合成の時期にバリオン数と光子数の比が上記の値の範囲になければなりません。分母にある光子も、その大半はクォーク・反クォークの対消滅から来ていますので、宇宙にクォークや反クォークが沢山いた時代では、この条件は、おおよそ100億と1個のクォークに対して、100億個の反クォークがあれば満たせます。 ことを見ましたが、この値は宇宙が冷えていく過程でどのようにして生じたのでしょうか? |