現在宇宙(空間)が膨張しているとすると、時間をさかのぼれば宇宙は現在より小さかったはずです。
空間の長さのスケールが半分になったとすると、
これから分かるように、宇宙の大きさが半分になったとき、質量を持った物質のエネルギー密度は8倍にしかなりませんが、電磁波(光)は16倍になります。つまり空間が小さくなっていくと
全エネルギー密度のうち、電磁波の割合の増え方が質量を持つ物質に比べて大きい
のです。時間をさかのぼっていくと、質量を持つ粒子の温度は上がりますが、電磁波(光子)の温度はそれより早く上がります。
一般に温度が異なる2つの物質が相互作用するとエネルギーをやりとりして同じ温度になろうとします。
熱いお湯と冷たい水を混ぜると、全体はその中間の温度になります。
これは大きな運動エネルギーを持つ水の分子(お湯)が小さい運動エネルギーを持つ水分子と衝突を繰り返しながらエネルギーをやりとりするからです。
従って、物質と光子との間の相互作用が頻繁に起こればそれらは同じ温度になろうとしますが、どちらが宇宙のエネルギー密度の大部分を占めているかは時代によって変わります。時間をさかのぼるほど、光子(電磁波)の占める割合が増えていくのです。
宇宙の過去をたどるには次のことを知る必要があります。
1.
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温度
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2.
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構成要素(宇宙を占めている粒子の種類)と密度
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3.
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粒子の間の相互作用とその頻度
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これら3つの要素は互いに関係しています。
例えば、宇宙の大部分を占めている粒子の種類が分かったとしましょう。その粒子がじっとしているか、動いているかで粒子の平均運動エネルギーが違います。
粒子の間の相互作用(衝突)が頻繁でないと粒子全体の温度が揃いません。この相互作用の頻度は1つ1つの衝突が起こる確率と、粒子の密度で決まります。
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密度が小さいと衝突回数が少なくて温度が一定になりにくい。
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密度が大きいと何度も衝突するので早く一定の温度になる。
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そしてこれらの3つが分かればそのときの宇宙のエネルギー密度が決まり宇宙の膨張の様子が分かります。
ではこれら3つの要素を知るには何が必要なのでしょうか?
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