100億度以下ではニュートリノと反ニュートリノは他の粒子との相互作用が弱いために同じ温度になることは無く、独自の温度で冷えていきます。
このとき、宇宙に存在する粒子は、ニュートリノ以外では
だけです。さらに温度が下がっていくと中性子は弱い相互作用を通して徐々に陽子に変わってしまいます。
100億度と10億度の間くらいで、陽子と中性子が核力によりくっつこうとします。
しかし、まだ周りには元気な光子や電子・陽電子がいるので簡単にはくっつけません。
前に核反応の例としてあげたヘリウム4原子核は出来るときに24MeVのエネルギーを出します。逆にこれを壊すには核子1個当たり6MeVのエネルギーが必要です。100億度が約1MeVですが、これは平均的な光子のエネルギーを表しますので、100億度では周りには6MeV程度の光子はまだたくさんいます。
それでも冷えていくと、いつか(10億度よりは高温で)は陽子と中性子がくっつきます。
核反応の例としてあげたヘリウム4原子核が壊すのに最もエネルギーが必要です。逆に言うと最も出来やすいのがヘリウム4原子核です。それは重水素(陽子1個と中性子1または2個)やヘリウム3原子核(陽子2個と中性子1個)を原料にして作られます。これらの材料よりヘリウム4でいる方がエネルギー的にお得なので、中性子を1個でも含む原子核は、まわりの陽子や中性子を吸収してヘリウム4原子核になろうとします。このころは宇宙が始まって3分たったくらいです。
このように陽子と中性子が結合して原子核を作ることを
といいます。ほとんどすべての中性子はヘリウム原子核に捉えられています。
このとき光子の数(電子・陽電子の数とも比例)が多いと原子核を作るのに邪魔になるので、元素合成の時期が遅くなり、それまでに中性子の数がより少なくなります。
そうすると、水素原子核(単独の陽子)とヘリウム原子核の個数の比が変わります(ヘリウムが減ります)。つまり
光子の数と陽子・中性子(バリオン)の数の比がどんな元素がどの割合で作られるかの決め手になります。
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ヘリウムより重い原子核はほとんど作られません。
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