宇宙の物質の起源

 

 

 

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1万度から現在まで

宇宙に存在しているのは

対消滅で残った電子
光子
陽子、ヘリウム原子核

です。

1万度より冷えてくると光子の密度も減って、自由に飛び回っていた電子がプラスの電荷を持った原子核に捕まって原子を形成します。1万度というのはエネルギーに換算すると約1eVで、これは丁度、原子から電子を引き離すのに必要なエネルギーと同程度です。

いったん原子が出来ると電気的に中性なので光子とほとんど相互作用をしません
この後、光子と原子は別々の道を歩みます

光子は宇宙膨張によりエネルギー密度が減っていって、現在では絶対2.7度宇宙背景放射になります。
これは前に説明したとおりです。

原子は、出来た当初わずかに濃いところと薄いところがあったのですが、濃いところでは重力により物質が集まることでより濃くなり、さらに集まって天体の元となるガスを作り、星や銀河を形成します。
星の中では水素やヘリウムを燃料として核融合が進み、より重い元素(炭素、酸素、窒素から金属まで)が作られます。

地球には多くの重い元素があります。
地球を含む太陽系はこのような元素を作った大きな星が一度爆発して、その燃えかすが集まって出来たと考えられています。

こうしてみてきたように、宇宙が冷えていく過程で様々なことが起こるのですが、それらが起こる温度はミクロな物理法則に現れるエネルギーのスケールで決まっていました。その結果として「宇宙の年表」が出来上がったのです。

但し宇宙が現在の姿になるには、陽子・中性子(バリオン)が対消滅後に生き残らなければなりません。しかもそれらの数と光子の数の比が元素合成で作られる元素の量を決めています。

この物質を作っているバリオンはどうして残ったのでしょうか?


次の章ではこの問題を考えます。