宇宙の物質の起源

 

 

 

1兆度から100億度まで

1兆度以下にまで冷えてくるとパイ中間子のようなメソンも存在できなくなってしまいます。
最も軽いパイ中間子でさえ130MeV程度の質量だからです。

この温度(100MeV以下)で存在できたのは、

電子、陽電子、ニュートリノ、反ニュートリノ
光子
対消滅後残った少量の陽子、中性子

です。このとき次のような反応(弱い相互作用)が盛んに起こっているので、陽子と中性子の数は釣り合っています。


前に述べたように中性子の方が陽子より少しだけ重たくて、その質量差はおよそ1MeVでこれは約100億度に相当します。
この温度より冷えると、上の図の反応は右から左向きの方が多くなり、結果として中性子の数の方が陽子の数より少なくなります。このとき、

となっています。この比は、中性子と陽子の質量差と、上の反応のバランスが崩れるときの温度だけで決まっています。もし中性子が少しでも重ければ、中性子の数は減っていて、この比の値はもっと小さいものになっていたでしょう。

密度も薄くなり、弱い相互作用しかしないニュートリノと反ニュートリノは他の粒子に邪魔されることなく自由に飛び回るようになり現在まで取り残されます