宇宙のさらに温度が高いときには核子もバラバラにされるのでしょうか?
この問題に答える前に核子についてもう少し詳しく説明しておきます。比較のためにこれまで出てきたパイ中間子や電子の性質もまとめて表にしましょう。
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陽子
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中性子
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中性パイ中間子
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荷電パイ中間子
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電子
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質量
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938.272 MeV
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939.565 MeV
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134.977 MeV
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139.570 MeV
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0.511 MeV
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電荷
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+1
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0
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0
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+1 または -1
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- 1
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核力
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有り
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有り
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有り
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有り
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無し
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寿命
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1032年以上
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887秒
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8.4 x 10-17秒
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2.6 x 10-8秒
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無限大(?)
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この表に現れる単位について説明します。
質量を表すのにエネルギーの単位(MeV)を用いていますが、これはアインシュタインの公式
を使って質量(m)に光速(c)の自乗を掛けてエネルギーに換算してあります。素粒子などの質量を表すときによく使われます。
電荷の単位は電子の電荷を-1としています。
粒子の寿命についてですが、幾つかの粒子は放っておくと別のより軽い粒子に崩壊します。電子は今のところ安定であると考えられていて、陽子はその寿命を測定する実験がされていますが、未だ崩壊が発見されていないので「何年以上」という下限があるだけです。
中性子は原子核の中にいるときは安定なのですが、単独でいると900秒ほどで
という過程で3つの粒子に崩壊します。ここで反ニュートリノという粒子が初めて出てきましたが、これはニュートリノという電荷を持たない、核力がはたらかない、ほとんど質量を持たない粒子の反粒子です。
原子核の中ではこの反応の「逆」、陽子が中性子と陽電子(電子の反粒子)とニュートリノに変わる反応が起こります。
これが前に挙げた核融合の2つ目の例で起こっていることです。
この中性子の崩壊には核力がはたらかない電子やニュートリノが関与しているので、核力とは異なる力によって引き起こされています。その力のことを弱い相互作用といいます。名前の通り非常に弱い力で電磁気力よりもずっと弱い力です。上の表で中性パイ中間子と荷電パイ中間子の寿命が桁外れに違うのは、中性パイ中間子が電磁気力によって壊れるのに対して、荷電パイ中間子は弱い相互作用で壊れるからです。力が弱いほど崩壊は起こりにくいのです。
単独でいる陽子(つまり水素原子核)が短い時間で崩壊するならば、私たちの体をはじめ様々な物質は安定に存在できないでしょう。
では核子のさらに先へ進みましょう。
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