宇宙の物質の起源

 

 

 

一様・等方な宇宙

夜空を見上げると、何時、どこでどの方向を見ても殆ど同じ程度に星が散りばめられています。この「どの方向を見ても同じ」と言うことを「等方」と言います。星座に詳しい人ならば季節や時刻、見る場所によって「何とか座」が見えたり見えなかったりするので異論があるかも知れません。

この2つの写真は異なる方向を異なる時期に見たものですがどちらがどうなのか識別は難しいでしょう。
しかもこの光の点は星だけでなく銀河や星雲も含んでいます。

また天の川があるところは星が沢山集まっていてるので「どの方向を見ても同じ」とは言えないでしょう。

天の川を地上から見てみると、、、
私たちの銀河を外から見たイメージ

天の川なんか見たこともない?
最近はそのような人も増えてきましたが、幸い私の住む佐賀は市内を少しはずれると夜空を横切るような天の川を見ることが出来ます。天の川はたまたま私たちの太陽系が属する銀河という円盤状の星の集まりを内側から見ているので、私たちに近い星を沢山見ることが出来るために星が集まって見えます。しかし星の集まりである銀河でさえ、宇宙全体から見ると砂粒のように小さな点に過ぎず、これらの分布の仕方はやはり「等方」なのです。

ここで「銀河でさえ砂粒のように小さい」という表現を使いましたが、一体銀河の大きさとはどのくらいなのでしょう?
私たちは日常ではものの大きさ(長さ)を表すのにm(メートル)とかkm(キロメートル)という単位を使いますが、宇宙で使われる長さの単位について簡単に説明します。
私たちの住む地球の赤道の直径は約13,000kmで、赤道1周は約40,000kmです。

earth

次に身近な太陽系を見てみましょう。

solar-system


太陽の中心から地球まで約1億5千万km、最も遠い冥王星まで59億kmあります。当然太陽系より外の宇宙の話をするときにはこれより大きな数字が使われます。余りに数字が大きくなるので、光が届くのにかかる時間をもって距離の尺度とします。光は真空中では秒速30万kmですから上の図のようになります。
住宅の広告にあるように「駅から歩いて何分」というのと同じです。歩きだと人によって速度はまちまちですが、光は真空では常に同じ速度なので、光を使っていれば間違いありません。

光が1年掛けて進む距離1光年といいます。1光年はおよそ1億mの1億倍です。

私たちの太陽系は天の川銀河とよばれる星の集団の中にいます。その様子を表すと下の図のようになります。


さらに天の川銀河と同じような銀河であるアンドロメダ銀河まではおよそ230万光年離れています。

では宇宙に現れる様々なスケール(おおざっぱな桁)をまとめておきましょう。

星(太陽など)

100万Km

銀河

数万光年

銀河団

数百万光年

超銀河団

数億光年

観測された最も遠い星まで

100億光年


今の段階では「宇宙の大きさ」がいくらかについて何も述べていませんが、現在観測されている星で最も遠いものが約120億光年離れていることから宇宙の大きさはこれと同程度以上であるでしょう。
そうすると銀河の集まりである銀河団でさえその大きさの1万分の1です。これは人間(1mのスケール)に対して、0.1mm程度の大きさで砂粒以下になります。

このように銀河などには星が集まっていますが、宇宙全体から見れば銀河でさえ砂粒以下でその分布は「等方」と言えます。

では星の分布が等方ならば私たちを中心に球対称(同心球状)に分布しているかというと、それは私たちの地球あるいは太陽系を特別であると考える天動説になってしまいます。私たちが宇宙の特別な場所にいるのではないとすると、宇宙のどこへ行っても同じような星空が見えると考えられます。このように宇宙のあらゆる場所は同等であるということを「一様」と言います。