XeLaTeXを利用したプレゼンテーション |
オリジナルのサイト | https://scripts.sil.org/xetex |
MacOS X用バイナリ (MacTeXの一部) | https://www.tug.org/mactex/ |
Windows用バイナリ | https://www.fsci.fuk.kindai.ac.jp/kakuto/win32-ptex/web2c75.html |
pTeXとXeTeXの共存について
XeTeXは日本語処理についてはpTeXほど完成度が高くないので、日本語がメインである文書を作る際はpTeX/pLaTeXを使用し、プレゼンのためにXeTeX/XeLaTeXを利用するという使い方をするのであれば、両者をインストールしなければなりません。 MacOS Xの場合には、それぞれ別のディレクトリに置かれるので、ディスクの容量を気にしなければ、全く問題はありません。 それぞれを、TeXShopから使う方法については下記を参照して下さい。 |
foiltexはプレゼン用のクラス・ファイルで、使い方は「LaTeXを利用したプレゼンテーション」で説明しています。デフォルトのフォントを20pt等と大きくし、romanフォントとしてsans serifを使うことでプレゼンに適した見やすい出力を作成するのに適しています。
fontspecはxelatexで、フォントの指定を容易にするパッケージです。使い方については付属のドキュメントやここを参考にして下さい。また、以下のサンプルを見れば、大体の使い方は分かると思います。
元来TeXには\fontというコマンドがあり、書体と大きさを定義していた。LaTeXの普及とともにあまり使われなくなったが、LaTeXを使わない場合は、 \font\lroman=cmr12 scaled \magstep1 等とプリアンブルに記入しておいて、本文で、フォントを切り替える箇所に\lromanなどと書いていました。 fontspecはこのようなフォントの指定を簡単に出来るマクロです。 |
1. LaTeXファイルの作成
日本語対応のTeX/LaTeXとして、pTeX/pLaTeXを使う人が多いと思いますので、pLaTeXと比較しながら説明します。
pLaTeX
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XeLaTeX
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documentclass | jbook, jreport, jarticle, など | book, report, article, など |
日本語コード | Shift-JIS, EUC (pLaTeXのシステムによる) | UTF-8 |
フォント(英文) | LaTeXと同じ、cmrなど | cmrの他、任意の利用できるフォント |
フォント(和文) | デフォルトは明朝フォント、ボールド・フェイスはゴシック・フォント(rml, gbm, rmlv, gbmv) | システムが認識できるフォント |
フォント・ファイル | $TEXMF/fonts/ 日本語フォントはdviwareの設定(map)にてシステムフォントが利用可能 |
$TEXMF/fonts システムのフォント・フォルダ内のファイル |
生成されるファイル | dviファイル | pdfファイル |
foiltexを使ったカラーのプレゼンファイルの作成法は既知であるとして、フォントの指定法を中心に説明します。まずサンプルファイルを見て下さい。texファイルはUTF-8コードで書かれていることが必要です。また、色の定義のために、colordef.texを読み込んでいます。
\documentclass[20pt, landscape]{foils} % \usepackage[dvipdfm]{graphicx} \usepackage{color} \usepackage[cm-default]{fontspec} % \input colordef.tex |
1行目のdocumentclassでfoiltexを指定し、文書のレイアウトをランドスケープ(横置き)にしている。そのためにtexファイルでページ・レイアウトを指定しています。(この数値は好みに応じて変えてください。)
graphicxパッケージのオプションをdvipdfmとしています。これは、epsファイルを図として取り込む際に、Ghostscriptによりpdfに変換させるためです。全ての図をpdfとする場合は、
\usepackage[xetex]{graphicx}
とします。
fontspecのオプション cm-default は半角英数字として使うフォントをCM系にすることを意味しています。式を多用する場合はこれを指定すると良いでしょう。
その後に、フォントの指定が来ます。
\def\minc{\fontspec[Scale=0.95]{Hiragino Mincho Pro W3}} \def\bmin{\fontspec[Scale=0.95]{Hiragino Mincho Pro W6}} \def\bgoth{\fontspec[Scale=0.96]{Hiragino Kaku Gothic Pro W6}} \def\goth{\fontspec[Scale=0.96]{Hiragino Kaku Gothic Pro W3}} \def\mgoth{\fontspec[Scale=0.95]{Hiragino Maru Gothic Pro W4}} % \def\lucidacal{\fontspec{LucidaCalligraphy-Italic}} \def\lucidahwl{\fontspec{LucidaHandwriting-Italic}} \def\chancery{\fontspec{Apple-Chancery}} \def\chalk{\fontspec{Chalkboard}} \def\chalkb{\fontspec{Chalkboard-Bold}} \def\centuryb{\fontspec{CenturyGothic-Bold}} \def\courier{\fontspec{CourierNewPSMT}} |
例えば、1行目は\mincという名前に、ヒラギノ明朝Pro-W3のフォントを登録します。但し、半角英字と並べる場合に、日本語フォントが少し大きめに感じるので、大きさを95%にスケールしています。ここでフォントの色を指定したり、フォントの属性(ファイルの置かれている場所、書体など)を指定できます。
フォントの名称は、次の何れかの方法で知ることができます。
Snow Leopardから、fontspecで指定するフォント名を「ポストスクリプト名」とするとうまくフォンを探せずにMetaFontが起動されるようになった。 そこで、「フルネーム」にしたところ、従来と同様にtypesetできるようになった。フォントのフルネームはfc-listで見ることもできるが、Mac OSのFinderでフォントファイルの情報を見ることで分かる。 例えば、ヒラギノ明朝Pro W3の場合、Postscript名は「HiraMinPro-W3」であり、ファイル名は「ヒラギノ明朝 Pro W3.otf」である。(/Library/Fontsフォルダにある) 一方、フルネームは「Hiragino Mincho Pro W3」であり、これをfontspecで指定する。 |
フォントを指定するには、フォントを変更したいところで上記に定義したフォント・コマンドを書きます。サンプルは次のようになっています。
\red \minc ヒラギノ明朝Pro-W3\\[5mm] \bmin ヒラギノ明朝Pro-W6\\[5mm] \blue \goth ヒラギノ角ゴシックPro-W3\\[5mm] \bgoth ヒラギノ角ゴシックPro-W6\\[5mm] \magenta \mgoth ヒラギノ丸ゴシックPro-W4[5mm] \orange {\fontspec[Scale=0.97]{DFPCraftSumi-W9}DFPクラフト墨W9}\\[5mm] % {\fontspec[Scale=0.95]{DFPMaruMoji-W7}DFPまるもじW7}\\[5mm] % {\fontspec[Scale=0.98]{DFPShinTen-W5}DFP新篆体W5}\\[5mm] \green {\fontspec[Scale=0.95]{DFPKanTeiRyu-XB}DFP勘亭流}\\[5mm] % {\fontspec[Scale=1]{DFPGyoSho-Lt}DFP行書体}\\[5mm] % {\fontspec[Scale=0.95]{DFPKaiSho-Md}DFP中楷書体}\\[5mm] % {\fontspec[Scale=1]{DFPLeiSho-SB}DFP隷書体} |
このサンプルをタイプセットすると、出来上がりは次のようになっています。
#!/bin/tcsh set path= ($path /usr/texbin /usr/local/bin) xelatex "$1" この行を xelatex --output-driver="xdvipdfmx -q -E" "$1" とする。 |
pTeXとXeTeXを共存して使う場合、コマンドラインでは入力するコマンドでどちらを使うのか区別できますが、TeXShopで使う場合には、コードとタイプセットするソフトを指定しなければなりません。通常は、TeXShopの環境設定で行いますが、ファイル毎に設定をし直すのも面倒です。通常は、日本語コードを「Japanese(ShiftJIS)」に、実行ファイル(設定プロファイル)をpTeX(Shift-JIS)にしておいて、texファイルの先頭行に次の2行を書き込んでおけば、TeXShopが設定よりこれを優先して処理します。(TeXから見ればコメント行です)
%!TEX encoding = UTF-8 Unicode %!TEX TS-program = xelatex |