宇宙論グループでの研究


当グループでは、以下のような研究をしています。


電弱バリオン数生成
素粒子の基本理論は、全ての素粒子には反粒子があることを示していますが、宇宙には反粒子は殆ど存在しません。陽子や中性子などの物質を構成する粒子をバリオンと言い、宇宙でこれらの粒子の方がその反粒子より多いことを「バリオン数非対称性」と呼んでいます。このバリオン数非対称性は、元素合成や宇宙背景放射の揺らぎからその大きさがある値でなければならないことが分かっています。非常に高温だった宇宙が冷えていく過程で、このバリオン数非対称性がどのように生じたのかを素粒子理論を用いて解明する研究を行っています。
現在、素粒子は標準理論と呼ばれる理論で様々な実験事実が説明されていますが、解明されていない幾つかの問題を解くためにその拡張が必要となります。この標準理論を拡張した理論(広く電弱理論と言われる)は、バリオン数非対称性を生成するための条件を満たしていて、近い将来実験で確かめることができる理論です。特に超対称性を持つ電弱理論は、ダークマターを自然に説明するなど、宇宙論的にも有望視されていて、この理論に基づいたバリオン数生成の問題を研究しています。
キーワード 相転移、超対称理論、CP対称性の破れ、量子アノマリ、非平衡
参考URL http://astr.phys.saga-u.ac.jp/~funakubo/BAU/BAU.html
初期宇宙と密度ゆらぎ
宇宙の物質分布は大局的にはほぼ一様・等方ですが、宇宙背景放射の揺らぎや宇宙の大規模構造の観測などから知られているように、一様等方からのずれがあります。この「ずれ」は宇宙初期に起こったと考えられているインフレーションの際に生成されたと考えられています。具体的にはインフレーションを引き起こすインフラトン場の量子揺らぎに起因すると考えられています。ただし、初期宇宙にはインフラトン場以外にも量子揺らぎを持ちうる場が存在しうることが素粒子物理から示唆されており、これらが生成する揺らぎが現在の宇宙背景放射の揺らぎの観測などに影響を与えることも考えられます。そこで、初期宇宙の密度揺らぎを研究することにより、初期宇宙の現象がより理解されると期待されています。
ダークエネルギー
近年のIa型超新星の観測、宇宙背景放射の揺らぎなどの様々な観測から、現在の宇宙は加速膨張していることが分かってきました。この加速膨張はダークエネルギーと呼ばれる物質が宇宙の物質の大部分を占めていると説明することができ、最近の観測から宇宙の約70%ほどがダークエネルギーであることが分かってきています。このダークエネルギーについては、宇宙定数やクインテッセンスなど、様々な候補が提案されていますが、その正体は未だ理解されていおらず、様々な角度から研究がなされています。
ダークマター
宇宙の様々な観測から宇宙の約4分の1はダークマターで占められていることが分かっています。このダークマターの正体も未だ分かっておらず、大きな研究テーマのひとつとなっています。だだし、その正体については様々なものが提唱されています。例えば、素粒子理論から示唆されているもので、アクシオン、ニュートラリーノ、グラビティーノなどがあります。また、ダークマターの性質や、これらの粒子の宇宙進化の過程での生成のされ方によって、宇宙の構造形成などに影響を与えるため、このような観点でも研究がなされています。